新しい葬儀・葬送について
故人の遺志、哀悼の気持ちを反映した葬儀・葬送のかたちへ
葬儀・お葬式というと、今日でも「一般葬」とよばれる伝統的な葬儀形態が多数派を占めています。遺族とごく身近な人だけで行う「家族葬」も増えていますが、これも、会葬者を限定した小規模なお葬式という違いがあるだけで、葬儀のかたちは伝統的な従来型であることに変わりはありません。
これに対して、近年では従来型とは違うお葬式、新しい葬儀・葬送のかたちにもニーズが広がってきています。
これら新しい葬儀・葬送のかたちは、いずれも、仏式を主とした宗教的で一般的・伝統的な形式にとらわれないスタイルです。
しかし、その内容は、故人の遺志や生前の生き方、いのちへの想いをもっとも重視し、遺族や見送る人たちの哀悼の気持ちを率直に反映する葬儀・葬送ができるとして、共感をよんでいます。
これまでわが国では、お葬式は仏式の伝統的なかたちで行うのが当たり前とされてきました。
「葬式仏教」といわれるように、多くの人がお寺や仏教は葬儀のためにあるものとしか思わず、仏式葬儀の葬送儀礼や誦読されるお経の意味するところに関心を持つ人もごくわずかでした。それに対して、葬儀を司る僧侶や寺、葬儀社なども、伝統的な仏式葬儀が持つ意味・価値・考えについて広く知らせる努力を怠ってきたと言えます。
その結果、伝統的な仏教形式の葬儀、一般的な葬儀・葬送のかたちに対して、潜在的に疑問・違和感を持つ人が多くなっています。
近年、お葬式そのものをしない「直葬」を、生前から希望する人や故人の遺志として選ぶ遺族も増えているのも、死亡原因や経済的な事情によるだけではなく、従来型の葬儀のあり方に対する批判の面もあると思われます。
そうしたことから、今後は、伝統・一般的な慣習にとらわれない新しい葬儀・葬送のかたちが広がっていくでしょうし、それによって、葬儀・葬送のかたちも多様化・個性化していくに違いありません。
以下に、そうした葬儀・葬送の新たな潮流をご案内します。
従来型ではない、新しい葬儀・葬送の種類
自由葬・・・「その人らしさ」を伝える自由なデザインと演出
こうした葬儀は「自由葬」とよばれ、それぞれのお葬式がオリジナルなかたちであることから、葬儀社によっては「プロデュース葬」ともよばれています。
なお、特定の宗教宗派の葬儀形式・儀礼要素をとらない「無宗教葬」というお葬式もありますが、これも「自由葬」のひとつです。
自然葬・・・自然に還って眠りたい
お葬式はできるだけ簡略に行い、死後は自然に還りたい、海や野山に眠りたいという人も多くなっています。
こうした希望に応える葬送として「自然葬」とよばれるかたちがあります。
自然葬は主として火葬後の遺骨の埋葬法ですが、「直葬」で火葬した後、散骨する海上や埋骨する野山でお葬式を行うというスタイルもあり、やはり、新しい葬儀・葬送のかたちとして、生前から希望する人が増えています。
現在可能な自然葬には、次の2種類があります。(詳しくは、それぞれをクリックしてくだいさい。)