葬儀・告別式~出棺|一般的な葬儀の流れ.5
一般には通夜が明けた翌日の日中に、葬儀式と告別式(葬儀・告別の儀)を行います。いわゆる「お葬式」です。通夜が本来は遺族・近親者のお別れの席であるのに対し、一般の会葬者を迎えて行う公式の追悼儀式です。
式後、棺に入った遺体とともに遺族は葬儀式場から火葬場へと向かいます。これを出棺と言います。
葬儀式とは
ほとんどの葬儀式(葬儀、葬式)は、故人の死を悼み仏や神に祈る宗教儀式です。故人または喪家の信仰する宗教・宗旨宗派・教団によって定まっている葬送儀礼に則って行われます。
現在のところ日本では、9割以上の葬儀式は仏教によって行われています。しかし、ひとくちに「仏教による葬儀式=仏式葬儀」と言っても、その儀礼・作法は宗旨宗派によって違いがあり、また、それら儀礼が意味するところや葬儀の意義も宗派の教義によって異なります。ですから、仏式葬儀であっても、遺族は故人および喪家の宗旨宗派を正確に知っていることとそれを葬儀社に間違わず伝えることが、たいへん重要になります。
それぞれの宗派における葬儀式の意義や手順、儀礼・作法などについては、菩提寺の住職、導師をされる僧侶、または葬儀社に尋ねるか、こちらを参照ください。
なお、仏教以外の宗教の葬儀式については、それぞれ次の関連情報を参照ください。
関連情報
告別式とは
葬儀式が宗教儀式であるのに対して、告別式は故人と最期のお別れをする社会的な儀礼です(ただし、浄土真宗大谷派では宗教儀式となっています)。もともとは、葬儀に引き続いて会葬者全員が故人の旅立ちを見送るために墓地まで出向き、埋葬前に最期のお別れをする儀式でした。しかし、現在では遺族・親族と近親者以外の会葬者が火葬場まで同行することはありませんから、葬儀式に引き続いて、棺を閉じる「石打ち」前に故人に別れを伝え、遺体に「別れ花」を行うなどが告別式にあたると言えます。
出棺とは
葬儀・告別式を終えたら、ご遺体を納めた棺を霊柩車(寝台車)に乗せ、遺族・近親者が附いて火葬場に向けて運びます。これを出棺(しゅっかん)と言います。
霊柩車には喪主または遺族1~2名が同乗します。火葬の会葬者が多い場合は、葬儀社がマイクロバスなどを手配します。このため、あらかじめ、火葬場まで行く人数を把握し、葬儀社に伝えておくことが必要です。
以下に、葬儀式-告別式-出棺の流れに沿って、その手順とポイントをご案内します。
1.祭壇・式場・受付の設営
通常は、前日の通夜式の祭壇・式場・受付を引き継ぎますから、新たに設営することはありません。供花についても同様です。→ 通夜とその手順|葬儀の流れ4参照
ただし、通夜は本来のかたちで自宅などで行い、告別式は斎場や寺院などで行う場合や、一日葬の場合には、当日の朝、祭壇飾り・式場設営などを行うことになります。(飾り付け・設営は葬儀社が行います。)
遺族・親族には控室が用意されます。着替えや飲食は、この控室で行います。なお、式場が寺院斎場でない場合は、僧侶用の控室も用意した方がいいでしょう。(この場合、僧侶も葬儀用の大衣・袈裟・帽子などへの着替えがあります。)
2.弔電の確認・整理
葬儀では弔電の紹介をします。このため、あらかじめ送信者を確認し、読みの難しい名前にはふりがなを記入しておきます。
また、弔電紹介では電文と氏名を読み上げるのは1~3通(他は、氏名のみ)なのが一般的なので、それを選んでおくとともに、氏名だけの紹介とするものも、故人や遺族と発信者との関係などを見定め、紹介順序決めておくのが良いでしょう。
なお、浄土真宗・真宗の葬儀では、弔電・弔辞に「冥福」「草葉の陰」「お祈り」といった表現を用いることが禁じられています。そういった文言がある弔電は、事前に読みかえ・書きかえをしておきます。
以上の確認・整理ができた弔電は、葬儀社の司会進行担当者に渡します。
3.会葬者の受付
準備が整ったら、会葬者の受付を始めます。要領は、通夜と同様です。
なお、会葬者には、通夜と葬儀・告別式の両方に参列される方と、葬儀・告別式のみの方がいます。通夜に続いて葬儀・告別式にも参列する方には、通常、通夜会葬時に香典を持参されているので、受付は記帳のみとなりますが、会葬御礼の礼状・返礼品は区別なく渡すのが一般的です。
4.着席
葬儀・告別式では、遺族は原則、正式喪服で臨みます。
喪主を筆頭に故人と血縁の濃い順に祭壇・棺に向かって右側に着席するのが、一般的(宗旨宗派により異なることもあります)です。
向かって左側には、葬儀委員長や世話役から順に、近親者(友人・知人)、職場関係者などが着席します。
弔辞を読まれる方も、左側の出入りしやすい席に着いていただきます。
※なお、宗教・宗派によって、席の配置は異なることがあります
5.葬儀式
司会者が開式を告げ、導師の僧侶紹介と入堂を知らせます。
以下、宗派ごとの葬儀式次第に基づいて行われます。
式次第がすべて終わると、司会者が閉式と、引き続き告別式に移る旨を告げます。
6.告別式
棺の蓋を開け、故人と最期のお別れをします。
供花を短く切り取り、一人一輪づつ棺に入れながらお別れを告げるのが一般的です。これを「別れ花」と言い、喪主から故人との血縁が濃い順に、一般の会葬者も行います。白い花を顔の周りに、色のある花は肩から下に入れるようにします。
棺に蓋をし、石で釘を打って閉じます。これを「石打ち」と言います。
真宗(浄土真宗大谷派)では「葬儀式第二」として、所定の告別儀式が行われます。
7.出棺
蓋を閉じた棺を、式場から運び出し、霊柩車(寝台車)に乗せます。棺は近親者数人の手で持ちます(喪主や遺族は棺を運ばないのが本来です)。
棺の乗車口を開けた状態で、喪主が会葬者に謝辞とお別れの挨拶を行います。
霊柩車の扉は閉じられ、僧侶の打つ弔鐘、あるいは長いクラクションとともに火葬場へ向けて出発します。一般会葬者は合掌してこれを見送ります。