病院での臨終|葬儀の流れ.1(逝去直後の対処)
現代では多くの方が病院のベッドの上で死を迎えます。入院療養中のご家族や大切な方が闘病の甲斐なく逝去されたとき、遺族はどう対処すべきでしょうか?
と言うのも、辛いことですが、大切な方がたった今息を引き取ったその直後から、遺族にとっては葬儀への対処が始まるからです。
以下では、ご家族など誰かが病院で臨終を迎えた場合の、その直前後から対処すべき葬儀に向けた手順(「葬儀前手順」とも言います)と、そのポイントをご案内します。
ご臨終・死亡告知
医師によってご臨終、または死亡が告げられます。告知のしかたは病院によって違いがあります。
末期の水
「末期の水」は「死に水」とも言い、最期を看取る人一人一人が逝く人を送ってお別れする、在来仏教では大切な葬送儀礼です。お釈迦様入滅時の故事に因むとされ、本来は息を引き取る直前の存命中に行うものですが、現実には逝去直後であることがほとんどです。故人との血縁が濃い方から、その場にいる全員が順番に行います。
ただし、在来仏教でも浄土真宗の宗旨では「末期の水」はしないこととされています。このため、故人(および遺族)が浄土真宗各派の門徒であれば「末期の水」は行わず、また、病院のスタッフにもその旨を伝えた方がいいでしょう。
末期の水の手順
- 茶碗に水を用意します。
- 新しい脱脂綿やガーゼを割り箸の先に挟むか、新しい筆の穂先に茶碗の水を含ませ、故人の唇を潤します。
この直後までに、葬儀支援ネット0120-02-6066(スマートフォンの方はこちら)にご連絡ください。病院からのご遺体搬送にも駆けつけられる良質な葬儀社を、急いでご紹介いたします。
エンゼルケア-湯灌・清拭、身繕い、死化粧
ご遺体の湯灌、身繕い、死化粧を行います。
本来は葬儀社・納棺師の手を借りて遺族が行うものですが、病院で亡くなられた場合は、看護師などが死後措置の一環でしてくれます。これを「エンゼルケア(または、エンゼルサービス)」と言います。ただし、死化粧はしない病院もありますから、その場合は、遺族でするか、葬儀社に依頼します。
なお、病院でのこれら死後措置は保険適用外です。(実費10,000~50,000円)
また、エンゼルケアと混同されがちですが、「エンバーミング」と呼ばれる遺体衛生保存方法もあります。
湯灌(ゆかん)・清拭
葬儀、納棺に先だって、亡くなった方をお風呂に入れる儀礼を湯灌といいます。遺体を清潔にするためですが、身を清めて来世への旅立ちをさせる意味があります。
湯灌は葬儀社が行いますが、病院で亡くなった場合には、看護師が医療行為としての死後措置と併せて、ご遺体全身をアルコール(または湯)でていねいに拭きます。これを「清拭」と言い、最近では本来の湯灌の替わりとされます。
身繕い(みづくろい)
ご遺体の着替えです。旅立ちのための死装束に着替えるのが本来ですが、故人がお気に入りだった着物や服を用意しておき、着せてあげるのが良いでしょう。
死化粧(しにげしょう)・メイクアップ
ご遺体の髪を整え、皮膚を伸ばして髭やうぶ毛を剃ります。表情に闘病やつれがあれば含み綿などを施して生前の姿に近づけます。故人が女性の場合には薄化粧をし、唇に紅をさすなどします。
エンゼルケアとエンバーミング
病院で亡くなった際に行ってくれる「エンゼルケア」は、遺体の腐敗を防止する処置を施し衛生的に保存できるようにする「エンバーミング」とは異なります。ところが、一部の葬儀社では「遺体処置・遺体メークアップ」などとして、「エンゼルケア」と「エンバーミング」が混同されるような案内をしていることがあります。
「エンバーミング」は医療行為ではありませんが、化学や外科医療の知識・技術も必要とされる遺体処置法で、「エンバーマー」という専門技能ライセンスを持つ人でないとできません。「エンバーマー」のいる葬儀社はごくわずかで、また、「エンバーミング」を行う医療機関も少ないのが現状です。